漫画の感想ブログ。メジャーなものから隠れた良作まで幅広く読んでいます。誰かの新しい漫画の出会いの場になれば幸いです。

よみコミ!

ゲストポスト 個別感想・レビュー 青年漫画

「恋は光」は最強の恋愛漫画!!

投稿日:

今回紹介する漫画は秋★枝先生の『恋は光』(全7巻)
あなたのおすすめの漫画を教えてください!で応募いただいた方のレビュー第二弾です。現在も絶賛応募受付中ですので気になった方はぜひご連絡よろしくお願いします。

 

 

こちらで3話まで試し読み公開中です。

comic.pixiv.net

 

こんにちは、関東の隅っこでマンガやアニメを貪っているいさお(@issa_freely)と申します。

 

この度は、クッキーさんにこの場をお借りしまして、

 

「恋は光」

 

という作品を紹介させていただきたいと思います。

 

私は、この作品は「最強の恋愛漫画の一つである、と考えています。
軽くネタバレはありますが、本作の魅力を伝えるのに必要最小限のものに留めております。ぜひご一読していただければと思います!

 

1.作品概要

秋★枝先生による大学を舞台にしたファンタジー恋愛漫画です。
「恋をする女性が光って見える」という能力を持つ男性の主人公。
そして彼を取り巻くヒロイン3人。
この同じ学部に通う大学生4人が、ちょっとファンタジーな、そしてたすらプラトニックな恋愛を繰り広げていきます。

こう紹介すると「恋する女性が光って見える」の部分がすごい気になるところです。
確かにそこは本作の重要なポイントではあります。
しかし、本作の恋愛ものとしての特徴は何よりも、純粋に相手を求める、本当にきれいな恋愛しか出てこないところです。

大学生というと、ともすれば肉欲に溺れかねない(!?)、オトナな世界のはじまりとも言えるでしょう。
親の目を離れ、自由時間も一気に増え、直にお酒も飲めるようになる。
恋人の一つも出来た日にゃ、むふふなことも少しは・・・なんて考えちゃいますよね。考えない?考えてください(煩悩の塊)

しかしこの作品、そんな恋愛の形は全く登場しません。
誰一人、手をつなぐことすらしません(!)


この人と付き合うにはどうすればいいのだろう?

告白して付き合うことは、相手や共通の知り合いにとって望ましいことなのだろうか?

なんでこの人に恋してしまったのだろう?

そもそも、恋ってなんだろう?

そんな悩みにみんなが逡巡しながら、話は進んでいきます。

 

しかし、これはキャラの幼さゆえの無知であるとか、気恥ずかしさによるものではありません。
みんな大学生、もう大人です。大人だからこそ、真剣に愛する人のことを思い、愛する人にとって最善の選択を追求するのです。
その選択が、たとえ「恋を諦める」というものだったとしても。

さてさて、前置きが長くなりました、具体的な作品紹介に移りましょう。

2.メインキャラ

f:id:sasa_comic:20180418193235j:plain


西条
 主人公。寡黙で人付き合いが苦手だが、ある特殊能力を持っている。

f:id:sasa_comic:20180418193238j:plain

北代 西条の幼馴染かつ親友。子供の頃からずっと西条のことが好きだが、友達以上恋人未満の状態を保っている。

 

f:id:sasa_comic:20180418193241j:plain

 

東雲 少し不思議ちゃんな、物腰柔らかな女性。ある授業でたまたま西条が隣の席に座り、西条と出会う。

 

f:id:sasa_comic:20180418193244j:plain

宿木 北代の友達。「他人の恋人を奪うのが好き」という悪癖がある。しかしそこを除けばきれいで親切な女性。

3.あらすじ 

「恋をしている女は光る」

「その光が、俺には実際に見えているのだ」

西条が北代にそんな告白をするところから、物語は始まります。
中学時代からこの光はずっと見ていたものの、大学の新学期という、恋の始まりの季節の光のまぶしさに耐えられなくなり、思わず北代に打ち明けたとのこと。
そう、西条は人付き合いが苦手であり、恋愛など、憧れと憎らしさの対象でしかなかったのです。

そんな中、西条は、ある授業で隣に座った東雲に、人生初の一目惚れをしてしまいます。
北代の仲介もあって西条は東雲とデートまでこぎつけますが、東雲はなかなか光ってくれません。
悩む西条に北代は疑問を投げかけます。
「それって本当に恋の光なのかね」
なぜなら、北代は西条のことが大好きなのに、西条曰く北代は全く光っていないからです。

東雲、北代、西条の三角関係。深まる光の謎。その三角関係を目にして西条に猛アタックをかける宿木も登場し、物語は本格的に動き出します。

 

4.「恋は光」の魅力 〜なぜ最強の恋愛漫画といえるのか?〜

どんな作品であるかは一通り説明できたかと思いますので、ここからは本作の魅力を紹介していきます!

(1)各キャラの人格と、その丁寧な描写

メインキャラ4人、みんなめちゃくちゃいい人なんです。
特に、ヒロイン3人の考え方は本当に他人への配慮と自省にあふれています。
例えばこの、西条のことが気になり始めた東雲に、北代が西条とのこれまでの日々を説明した場面。

 

f:id:sasa_comic:20180418184640j:plain

 f:id:sasa_comic:20180418184625j:plain

 
西条と長い日々を過ごしてきた北代への嫉妬と、嫉妬を感じたことに対する自己嫌悪に苛まれる東雲。
東雲から質問されたがゆえ西条との日々を説明したにも関わらず、自らを無神経として謝罪する北代です。
こんな「ああ、いい人たちなんだなあ」と感じる掛け合いシーンが非常に多く、心温まります。

そしていい人たちだからこそ、ヒロインたちは真剣に恋に悩むのです。

自分が西条と付き合うことは、西条にとって最善の道なのか?
自分よりも西条を幸せにできる存在がいるのではないか?

西条も同様に、真剣に恋愛のことを、女性たちのことを考えます。

今の自分が付き合うことで、この女性は幸せになるのか?
自分のその女性に対する感情は、本当に彼女に付き合ってもらうに足るものなのか?
強い気持ちがあっても、それは恋愛感情なのか?

恋の一つの意義が「相手を思いやる」ことであるのなら、このキャラたちは間違いなく、究極に、恋をしています。

そして、キャラたちの心情を、セリフ・心の声双方をうまく使い分けつつ丁寧に文字にしていく、秋★枝先生の心理描写も非常に素晴らしいです。
丁寧な心理描写は、各キャラの言動に説得力を持たせるために欠かせません。
そして各キャラの言動に説得力があるからこそ、読者はその漫画の世界に現実性、リアルさを感じ、その世界に引き込まれていくのです。

 

(2)西条が見る光の謎

f:id:sasa_comic:20180418191139j:plain

あらすじにさらっと書きましたが、北代は子供の頃からずっと西条に恋しているにも関わらず、全く光っていないんです。
一方他のヒロインを見てみますと、東雲は、物語が進むにつれ、どんどん光っていきます。
宿木は、普段は光らず、西条が他の女性の話をする時だけ、ものすごく光ります。

はてさて、西条が女性に見る光は、やはり「恋の光」なのでしょうか?
それとも、別の何かを表すものなのでしょうか。

この答えも終盤で判明します。この答えを知った上でこの作品をもう一度読み直すと、各ヒロインのセリフの意味をさらに深く理解することができるのも、この作品の大きな魅力です。

 

 

(3)「恋は光」は恋に関する哲学書である

本作は、秋★枝先生が「恋とは何か?」という問いに対して考察し、一つの答えを提示する作品でもあります。

 

というのも、3人のヒロインのタイプを以下のようにまとめてみると、興味深い構図が浮かび上がってきます。

 

 

北代

東雲

宿木

恋に対する認識

恋の意義を認識

恋について何も知らない

恋を見下している

→中盤で恋の意義を認識

西条に対する姿勢

超消極的

西条との関係が崩れるリスクを考慮し、現状維持を目指す

どうすればいいかわからない

そもそも西条に対する自らの気持ちがどのようなものであるのか、自覚できない

超積極的

なりふり構わない。時には他の人間関係を犠牲にしてでも、西条を振り向かせることを狙う

 

つまり、北代、宿木は、恋との向き合い方に自分なりの答えを見出している点で共通していますが、その向き合い方が正反対なのです。

北代は、子供の頃から積み重ねてきた西条との関係を崩したくはなく、ただひたすらに現状維持を目指します。
一方宿木は、中盤で「他人の恋人を奪いたい」以上の感情を西条に対して自覚した後は、あらゆる手段を使って西条の目を北代、東雲からそらし、西条を自らのものにしようと努力します。

この二人の強烈な対比の真ん中を揺れ動きながら、東雲は「恋とは何か?」「西条に対する自らの気持ちは恋心なのか?」「恋だとしたら、西条にはどのようにアプローチすればよいのか?」という問いをひたすらに検討していきます。
その東雲の検討過程があまりに詳細に描かれているあまり、その検討は、作者が、恋に対する正反対の姿勢を比較しながら、恋というものを分析する過程そのままになっているんです。

 

一時の楽しみを与えるだけの簡単な娯楽ではなく、作者が考え抜いて、考え抜いて編み出した哲学が表出する作品は、読み応えが全く違います。
作者の長年の思考の産物は非常に示唆に富んでおり、何かしら自らの価値観を揺るがすものがそこにはあるからです。
そんな、作者の本気に触れられる作品が、私は大好きです。

ちなみに、東雲さん(と作者)は、「恋とは何か?」という問いにしっかり答えを見つけます。
その答えは、西条が見る「恋の光」の意味にも直結します。
(本作は作者が恋のなんたるかを語る作品でもあることを考えると、作者の哲学が、「恋の光」という本作最大の謎に絡んでくるのは当然なのですが・・・)

そしてその答えに基づくと、実は上の表にはもう一行追加することができるのですが、詳細はぜひ、ご自分で本作を読んで確かめてみてください。
かなり興味深い答えですよ。

 

5.まとめ

f:id:sasa_comic:20180418210941j:plain


そんなこんなと色々語りましたが、「恋は光」は
キャラが究極に恋をしていて、しまいには「恋とは何か?」という永遠のテーマに答えを出してしまう、恋愛漫画の極みみたいな作品です!

そして何よりも、恋したくなる漫画です。

 

 

恋は人を苦しめることもあります。友情を壊すこともあります。
でも恋は光なんですよみなさん。キラキラした、きれいなものなんです。
それが強烈に伝わってくる、4人の真剣な恋を、そしてその結末を、ぜひその目で確かめてみてください。

 

(おわり)

 

P.S. 冒頭にもちょろっと書きましたがいさお(@issa_freely)twitterやってます。マンガ好きの方ともっともっとつながりたい、そんな願望を日々抱いております、ぜひフォローをば!
ここまで読んでいただきありがとうございました!

-ゲストポスト, 個別感想・レビュー, 青年漫画

Copyright© よみコミ! , 2019 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.